2005年11月2日
EVENT. 51 株式会社ネクストジャパン 代表取締役社長 長江 芳実 氏インタビュー
お忙しい中お時間を割いていただき、インタビューをさせていだきました。

11月2日SPECは品川にある、株式会社ネクストジャパンの長江社長を訪問させていただきました。ネクストジャパンはJJCLUB100(イチマルマル)という時間消費型完全会員制複合レジャー施設を運営している会社です。ものすごい勢いで会員数をのばしており、2004年9月にはマザーズ市場にも上場しました。
URL
http://www.nextjapan.com
長江社長プロフィール
大阪府出身
高校卒業後 空手団体「正心館」を設立
25歳で道場50ヶ所・門下生3000人を抱える
1992年武道具の販売を開始
1993年法人化し、株式会社ネクストジャパン設立
2000年JJCLUB100を開業
2004年9月東京証券取引所マザーズ市場に上場
SPEC:JJCLUB100を開くまでのいきさつをお聞かせください。
長江氏:もともと高校卒業後ボランティアで子供達に空手を教える教室を開いていた。最初は資金が無かったため、公民館などを間借りしていたが次第に門下生が増え大きな団体となった。その後、間借りではなく常設の本部道場を作り、何人かの師範代を内弟子として住み込みさせることにした。彼らを食べさせるために何かをしなければならないという必要に迫られた。そこで武道具の販売を行うことにした。会社を作ったこともなければ、勤めたこともないため、どのようにして仕入れどのようにして売っていいか分からなかった。とりあえずバックパッカーとして東南アジアを回り、工場を見つけそこで委託製造をして、自分でブランドを作り輸入して通販で売り出すことにした。しかし最初は全く売れず道場の人達を食べさせることもできなかった。自分も苦しいような状態が半年近く続いたが、結果として 2年後には格闘技用品のトップメーカーになった。法人化してからはトレーニング器具やフィットネス器具と手がける商品を増やし、その度に海外の工場を個別に探して商品を改良して売り出した。当時自分にはマーケットをつくっているという自負があった。しかしよく考えたら参加者を増やしたわけではないためマーケットを作ったとは言えない、と気付いた。モノにニーズがあるのではなくてコトにニーズがある。きっかけ作りということをしないとマーケットをつくったことにはならない。そこでサービス業に進出することにした。モノを売るのではなくコトを広めることでモノは売れるよねという考え方である。そのさきがけとして7年ほど前ビリヤード場を手がけた。最初はうまくいったがブームの終わりとともに不調になった。これにより会社が危機に陥ってしまったが、そこで考えついたのがJJCLUB100である。調べてみるとビリヤード、ボーリングなどのインドアレジャーの特徴として、単独だとブームの浮き沈みがあること、外的要因(テレビや映画など)に左右されることの2つがあることに気付いた。しかしインドアレジャーの参加人口をトータルでみると安定している。ということは単純に全てのインドアレジャーを一箇所に集めてしまい、なおかつワンプライスという形にすれば解決できるのではないかと考えた。JJCLUB100の特徴の1つは15分105円制というレジャーバイキング、もう1つは完全会員制である。会員が遊んだレジャーのデータ履歴が残るようにし、そのデータを基にしてお客様の滞在時間をのばすことに成功した。15分105円制というレジャーバイキングという考え方は世の中になかったし、レジャー施設で完全会員制データベースマーケティングというのは世界的にない。
SPEC:現在会員数がどんどん増えていると思いますが、今後の目標は何ですか?
長江氏: 会員数が今後増加していくなかで、1つ目の目標は、 JJCLUB100を例えばファミリー向けやシニア向けのように多ブランド化していくということ。現在、JJCLUB100は若年層やファミリーを中心としたアミューズメントのコミュニティだが、シニア向けのコミュニティのようなものも考えている。もちろんコンテンツは変える。アミューズメントではなくてカルチャーやフィットネスやお風呂などをもりこみ、多ブランド化していくという発想である。
もう1つは今の 600万人の会員に向けて金融サービスのようなサービス提供を行うことである。そのようなサービスを充実させていくことでマーケティングの精度はもっと上がっていく。そうすればお客様に対してさらにいろいろなものを提案していくことができる。我々は、現在レジャー施設を運用しているが、本来事業の根底にあるのはデータベースマーケティングである。レジャーという切り口で差別化し、なおかつレジャーというコンセプトで会員を集め、データベースを活かし、その会員を基にマーケティングビジネスを展開しようというものである。
SPEC:ビジネスを経営するうえで一番大切に考えていることは何 ですか?
長江氏:一番大切に考えているのはお客様の視点である。僕はレジャーに興味もないし、お客としても行かない。でも、「なぜ行かないのだろう?こんな自分でもどうやったら行くだろう?」といつも考えている。これは顧客視点を持っていることに近い。だから「何が儲かっているのだろう?市場はどこがいいのだろう?」などとはあまり思わない。まずあるべき論から考える。
SPEC:学生時代に格闘技をなされていたということですが、それは今のお仕事に生かされていますか?
長江氏:そう思う。続けるということはストイックなことで、最初は日々パンチが速くなったりと成果が分かるが、途中から「なぜこんなことをしているのだろう?」と思い始める。痛い思いをしながらなぜやっていたかというとそれ以上のものを見出していたからだと思う。事業も同じで、以前 2年ほど、なぜ自分はこんなことをしているのだろうと悩んだ。そこで分かったのはこれも修行だということである。生きていること自体が自分探しというか、どういう自分になりたいのか?何をもって自分の成長というのか?何が自分にとって幸せなのか?などを含めて自分探しだと思う。自分と向かい合うという感覚が限りなく格闘技と近い。よく新卒の説明会などでも、「何のために働くか考えたことはある?」と聞いている。どの職業に向いているということも大事だが自分の生き様のようなものも大事だと思う。社会に出ると流されるから。そこをきちんと考えてないために、自分には向いていないとかもっとやりたいことがある気がすると思ってしまう。早いうちから天職やライフワークを見つけられたら素晴らしいと思う。でも働くことに対する自分なりの視点がないまま社会に出て流されてどうなの?という話が多い。就職活動で、会社をいろいろと回るのも大事だがそういったことをじっくり考える1年にしないとだめなのではないかと思う。就職活動というのは適性検査のようなことではなくて、自分探しの一環といえると思う。確かにそれをしたからといって見つかるわけではないかもしれない。けれども自分なりの視点を持っていること・どれだけ深く考えているかということが大事である。それは就職すること・働くことに対してもそうだし、僕は経営に対してもそうだと思う。
SPEC:起業するのに勇気がいると思うのですが、どうお考えですか?
長江氏:本当にやりたいかどうかではないのかな。本当に起業したかったら明日法務局へ行き登記すればいい。 1円でできるから。それをしないで「なんでしないの?」と言うとお金がない、ビジネスモデルのアイディアがない、仲間がいない、などできない理由を並べる人はたくさんいる。でもできることをやっていないのにできないというのはおかしいと思う。全部そろえて起業なんてできないのだから。でも登記はすぐできるはず。そうやって既成事実を作っていくべきだと思う。アイディアがなければどうすればいいかという視点で考えればいいし、仲間がいなければ別の視点から考えればいい。行動することによって出会いもあるかもしれない。本当にアイディアを生み出そうと思うからそういう視点で物事を見るのかもしれない。真剣に考えることで、なぜ社長になるのかといった自分の人生観を見つけるかもしれない。だからできることもしないでできない理由ばかり言うのはやる気がないからではないかと思う。
SPEC:漠然とした質問ですが、お金と幸せについてどのようにお考えですか?
長江氏:僕にとって金額は数字。 1億円と100億円は何も変わりはしない。数字であって道具であり、使って初めて価値が出ると考える。1億円でも100万円の価値のない使い方もあるかもしれない。でも100万円でも1億円以上の価値のある使い方ができるかもしれない。結局道具。みんな稼ぐことばかり目がいくが、使うという当たり前のことを考えない。使い方があまり発展していない人が多いと思う。でも、「どういうふうにしたらこの同じ額がもっと価値が出るようになるのだろう?」と考えている人達にとっては100万円でも1億円と同じ価値かもしれない。価値というのは最終的にはその人の人生観による。僕は将来したいことがあって、お金を稼ぐのがうまいのではなくて使うのがうまい人間になりたい
SPEC:長江様の将来の夢はなんですか?
長江氏:あまり人には言わないが、どうしてもというのならノーベル平和賞をもらいたい。何をもって自分の幸せとするか。幸せというのは 1つのことで共感できる人が多いことが幸せだと思う。自分の持った影響力なり何なりで何かみんなで一緒に喜べるものができたら、同じ100万円でも100人で喜べば1億円になるかもしれない。超拡大解釈をすればJJCLUB100は、お客様の笑顔を通じて世界平和に貢献しているかもしれない。(笑)
SPEC:人を幸せにするためにはどうすればいいですか?
長江氏:僕は気づきだと思っている。何が幸せかということはみんな自分の中に持っていると思う。幸せを人と比べたり外に求めるからねたみや欲求不満が生まれる。幸せはきっと自分の中にあると思う。「常識のない会社」にも書いてあるが、昔僕は未来志向で未来のために今があると思って、目標を設定してはまた次の目標を設定しての連続だった。しかし僕はあるとき過去や未来なんてないと気がついた。現実に存在するのは今で、過去は記憶で、未来は想像でしかない。今しか現実で事実なものはない。今日幸せと思えなかったら一生幸せにはなれないと思う。今日幸せでそれを積み重ねたら、振り返れば勝手に過去は幸せで、未来も幸せになっていくわけである。そう考えるとあるものに感謝できるという気持ちがなさ過ぎる。だから人と比べたりもっともっとと欲ばかりでてきたりするのだと思う。だから気づきだと思う。ということは人を幸せにしたりするにはまず自分が幸せだと感じなければならない。僕がすごくいきいきしていたら「長江さんはすごい楽しい人だなぁ」となるわけである。ある話があってこれはある大学生から聞いたのだが、ゼミか何かで中国に行った。内陸部の外れのような所で 10代の女の子が一部屋に何人も悪環境の中で生活をさせられているような所へ。そんな女の子達と2〜3週間寝食を共にするようなことをやった。その大学生は行く前はかわいそうだなと思っていた。でも帰りになると全く見方が変わったと。むしろ日本の私達の方が不幸だと。なぜかというと中国で出会った女の子達は目がきらきらして生き生きして人生に前向きでいる。それに比べると日本の若い人の方がいきがいとかを見失ってかわいそうであると。なぜかというと、ここがポイントだと思うのだが、その大学生によると彼女達には選択肢がないのだという。生まれた時から貧乏で与えられた環境はどうしようもない、その環境の中で自分を探そうとする、やりがいとか、夢とか。だから探そうと思えば探せるわけである。チルチルミチルのように幸せ探しの旅に出たら結局は青い鳥は自分の家にいたというような、僕はそう思う。
SPEC:社会に出て行く僕達のような学生に一言お願いします。
長江氏:いつも思うのはできない理由を探さないということ。「やりたいことあるの?―無い」というのが一番の問題ではあるが。あるといいながら、やる時にこうだからああだからと自分でたくさんの制約をつけて結局やろうとしない。僕はできない理由を探す暇があるのならなぜできる方法を探さないのかと思う。成功というのは失敗の延長にしかないと思う。いきなり成功しようと思うからリスクをとれないのである。難しく考える必要はない。サクセス話には苦労話はつきものだから。山に行って景色が見たいというときにルートを考えるとかではなくて上を向いて歩けば頂上にたどり着けるわけである。失敗が前提にあるからこそとれるリスクからとろうとする。これだ、というアイディアを思いついてお金集めて借金して失敗するほうが酷だと思う。失敗が前提なら自分で働いて 50万円しかないけどできることをやってみるという発想でいいと思う。
SPEC:ありがとうございました。インタビューは以上です。
総括:
今回、長江社長は僕達のインタビューに非常にきさくに答えてくださりました。人生とは自分探しの修行なのだということ・幸せは自分の中から見つけるべきこと・できることから今すぐやってみることなど、例えを使って非常に分かりやすく話していただきました。また JJCLUB100のビジネスモデルなど興味深いお話も聞けて貴重な時間を過ごせたと思います。今回ログに載せきれなかったお話しも含め様々なことを聞くことができました。最後に僕たちの為にお忙しいところお時間を割いていただいた長江社長にこの場を借りて厚くお礼申し上げたいと思います。ほんとうにありがとうございました。























