EVENT. 50 ケンコーコム株式会社 代表取締役社長 後藤 玄利 氏インタビュー
お忙しい中お時間を割いていただき、インタビューをさせていだきました。

10 月 12 日、 SPEC は赤坂にある、インターネット経由で健康関連商品を販売するネットベンチャー、ケンコーコムの後藤社長を訪問させていただきました。今回の訪問は 8 月 16 日に訪問したシンプレクス・テクノロジーの金子社長からのご紹介でお伺いしました。この場を借りて金子社長には厚くお礼申し上げたいと思います。
最近流行りの美容や健康、そして僕たちが専門的に研究している金融も“情報の持つ価値が高い”分野であり、 IT を駆使したビジネスが現在激しい生き残り競争を繰り広げています。
これからの時代のキーワードとなる「情報の価値」について知りたい方、ネットベンチャーに興味のある方は必見です!
URL : http://www.kenko.com/index.html
後藤社長ブログ: 健康と EC の Blog by GG
後藤社長プロフィール(上記ホームページより抜粋させていただきました。)
1967 年 02 月 大分県生まれ( 80 年の歴史を持つ地場の製薬会社の創業家に生まれる)
1989 年 03 月 東京大学教養学部基礎科学科卒業
1989 年 04 月 アンダーセンコンサルティング入社
同社の戦略コンサルティンググループ設立メンバー
1994 年 05 月 アンダーセンコンサルティング退社
1994 年 05 月 うすき製薬株式会社に取締役として入社
1994 年 11 月 株式会社ヘルシーネット ( 現ケンコーコム株式会社 ) を設立。代表取締役に就任
1997 年 07 月 うすき製薬株式会社代表取締役に就任 (2001 年 08 月より取締役 )
2000 年 05 月 ケンコーコムを立ち上げ
SPEC :では早速質問のほうに移らさせて頂きます。まず私たちの団体の説明なんですがSPEC という団体は株式投資を通してリアルな経済とビジネスの現場を肌で感じようと活動しています。その一環で今回、シンプレクス・テクノロジーの金子社長さまからのご紹介で訪問させていただいたわけなんです。
後藤氏:はい。
S :初めにケンコーコムさんの説明を少ししていただけないでしょうか?
後藤氏:うちはすごくシンプルで、健康に関するもの…健康食品がメインですけど、それ以外にも医薬品ですとか化粧品ですとか、あるいは日用品とかベビー用品とか介護用品とかペット用品とか…まあ、つまり健康に関するものをエンドユーザーに E-commerce というか BtoC の形で販売しています。で、基本的にインターネット上で販売できるような形の、流通できるようなところを分野にしていって、特に健康というところにこだわった形で会社を運営しています。
S :御社の強みをお聞かせ頂けますか?
後藤氏:強みはいくつかありますが、 1 つは品揃えが充実していること。これはいま5万商品強のものを扱っているんだけど、ネットでビジネスすることの強みはスペースの制約が無いこと。現実社会のビジネスだと店舗面積っていうのが制約となって一定の面積の中には一定の商品しか置けない。ドラッグストア等は POS 管理とかをやることで、売れ筋商品だけをどんどん置いていくっていう形をとると思うんだけど、僕らの場合はスペースの制約なしに品揃えを拡大することができる。
インターネットの強みって言うのは情報を無料で流通できるっていうのが最大の強みなんで、それを使うと今までのリアルな世界の情報流通においてはニッチのニーズを拾うことは非常に難しかったんだけれども、インターネットの上ではニッチの商品でも、情報をしっかりと発信していれば誰かが拾ってくれるので、僕らは商品数をどんどん広げているのはそういう理由からなんです。今までの流通だと非常に高コストでしかできなかったのが、ほとんど無料で情報流通ができるってことが僕らの強みなんで、この品揃えが充実しているという事は僕たちの一つの大きな優位性になる。
S :とするとアクセス数を増やすような方法を使われているのですか?
後藤氏:そうそう。だから裾野を広げれば広げるほどニッチ商品を探している人がアクセスしてくれるからアクセス数は増えるよね。
S :では御社の問題点や弱みといった部分をお聞かせ願えますか?
後藤氏:ドラッグストアと比べると、一つは余計な経費、管理費がかかるということ。まずお客様に商品を届けるための配送費やクレジットカードの決済等で余計な手数料がかかってしまうことなどの、コスト構造上の問題点があります。ただ僕らとドラッグストアではコスト構造が違う(店舗を出さなくてもよいので、人件費、償却費、家賃等を節約できる)から、僕らは僕らの土台で戦うだけです。
S :今後考えておられるビジネスチャンスに関してお聞かせください。
後藤氏:別に…。今僕らが掘り下げていっているところだけでもマーケットオポチュニティーは大きいので…。ドラッグストアのマーケットっていくらぐらいあると思う?
S :ちょっとわかりません…
後藤氏:だいたい 3 兆円くらいがドラッグストアの市場規模といわれていて、健康食品のマーケットも 1 兆円くらいのマーケットがあるといわれています。健康の流通、消費者に対する流通って結構大きなマーケットがあるんだけど、ネットで流通している部分が今大体4%くらいといわれているんだよね。これが将来まだまだこの割合が増えてくると全体の母数は何兆かの市場があるから、そのなかの1%だけでも数百億のマーケットがあり、10%だったら数千億のマーケットになるんだよね。その中で今度は健康の E-commerce っていうマーケットをどうやって分けていくかって話になるから…。結局ネットの世界っていうのは最終的に上位3社位の寡占状態になるといわれているので、そのなかの No1 のポジションを取りにいければそれなりの大きなビジネスチャンスがあると思っています。今僕らがやっている事は、ほかのビジネスチャンスを探すことじゃなくて、今のビジネスチャンスをいかにしっかりと獲得していくかということにフォーカスしているんです。
S :なるほど、ありがとうございます。では次の質問に移らさせていただきます。最近ネット業界で美容や健康に着目したサイトが流行していますがそれはなぜですか?
後藤氏:美容とか健康って言うのは情報が占める割合が多いんだよね。物の持つ価値と情報の持つ価値とでは、健康というのはかなり情報に結びついている部分が大きいんで、インターネットっていうのはさっきも言ったように情報を無料で流通できるインフラであるということで、インターネットとの 親和性 が高いんですよ。だから君たちがやってる株式だとか金融も情報が持つ割合が大きいのでネットとの親和性が高いし、そういった情報のサービスに占める割合が大きいほどインターネットに対する 親和性 が高いんじゃないかと思います。
S :それではインターネット業界の今後の展望をお聞かせください。
後藤氏:生活の中にネットが占める割合はこれまで以上に深く関わってくると思います。さっきも言ったように情報が絡む部分はすべてネットを活用すると流通のコストは確実に下がるから、そういう割合が高いものほどインターネットで扱われるようになる。 I-pod みたいに物じゃなくて情報だけ売るような商品も次々出てくるでしょう。情報の価値だけが物から今まで以上に切り離されてネットで流通していく形になっていくんだろうね。物の価値がどんどん安くなり、情報だけが独り歩きで流通していくのではないでしょうか。
S :学生が今ネットベンチャーを立ち上げるのは難しいですか?
後藤氏:そんなことはないでしょう。 10 年前って言うと、君たちはまだ 10 歳くらいだよね?そのころからインターネットが出てきたんですけど、僕なんかは大学卒業のころはパソコン一台 100 万円位していて、それはネットにもつながらない、ただ表計算ができるだけの時代でした。パソコンはワープロの延長って形から入っていったから、インターネットのネイティブじゃないんだよね僕らは。
実際に会うコミュニティーとネットワークで誰とでもつなげたりオンラインゲームしたりチャットしたりするコミュニティーって、今の学生ならこの二つのコミュニティーに入ってるんだと思うけど、やっぱりそういった感覚は物心ついたころからネットにどんどんアクセスしていた人たちと僕らとは違う。
今の学生はインターネットのネイティブで、自然に考えたときにすらすらと出てくるアイデアをビジネスに結びつければ面白いことができると思う。それは学生の熱意というよりも、インターネットネイティブとしてスムーズに受け入れられることと、今までの狭い世界の中で習慣化してしまったことを見極められれば何か面白いアイデアが出てくると思います。僕らのころはビジネスを始めるっていうところからネットをはじめてるけど、今の学生でそこからスタートしても僕らにはまだまだかなわないと思おうから、そうじゃなくてネットで面白いことをはじめてそれが最終的にビジネスに仕上がっていくということであれば、今のインターネットネイティブの人たちは有利でしょう。
S :最後にケンコーコム様の将来像をお聞かせください。
後藤氏:基本的にやりたいことはエンドユーザーのライフスタイルをどう変えていくかという事で、要するに健康に関して、何か自分の健康を良くしたいと思った時に、ケンコーコムで買おうかというふうに、エンドユーザーの行動を変えていきたいというのがやりたいことです。 10 数年前は健康について気になったら、人はだいたい商店街の薬局に行って、薬剤師の人にアドバイスを受けながら薬を買うという世界だったと思うんだけど、今はドラッグストアに行ってスーパーのようにかごに入れてすぐに精算という形が主流ですよね。それをネットで情報を見て商品を買ってもらえるような世界に作りかえたいですね。ネットの優位性の品揃え、詳細で充実した情報、個人の購買属性の理解などを用いて何十万人に同時に付加価値の高い商売が低コストでできることを活用していけば面白いと思っています。1 to 1の集積を IT を使っていかに実現するかがこのビジネスの基本ですから。
S :ここからは一問一答形式で進めていきます。まずは学生時代には何をされていましたか?
後藤氏:アメフトの同好会に積極的に参加していました。
S :これはやっておきたかった、っていう事は何かありますか?
後藤氏:もっと旅行しておきたかったね。社会人になってからはあまり時間が取れなくなったので広くいろんな世界を見ておくことをもっと学生の間にしておきたかった。
S :今の学部卒の学生に企業が求めているものは何なのでしょうか?
後藤氏:いろいろあるけど、一つは、自分で問題点を見つけて自分で解決していこうという、自律性が欲しい。要するに世の中に従うより、自分の考えの芯になるものを見つけようとしている人間、世間に流されすぎない人だね。さっきのインターネットの話で言うと、インターネットネイティブとして素直に何かビジネスを見つけるのも、今世の中で流行っている事を追いかけてもそれは絶対出てこなくて、自分で「こうやったら面白いのに」ていうものをしっかり持っていれば何か面白いものが出てくるんだと思います。アンテナを張りながら情報の取捨選択の機軸を持っておくことが必要ですね。情報も何度も取捨選択していくうちによい情報と悪い情報が見極められるようになるから、いつもそういうことを繰り返しておくことが必要じゃないでしょうか。情報集めは必須で今度はそれを見極めることを意識的にやっているかどうかが問われます。
S :ビジネスをしていて一番楽しいのはどんなときですか?
後藤氏:困難なことを、自分ひとりでやったら絶対無理な話をチームでやって自分ひとり以上の結果が出てきたときかな。
S :後藤様の仕事の目的は何ですか?
後藤氏:基本的には楽しみの一つとしてやっていきたいと思っています。
S :起業なさった理由は何ですか?
後藤氏:時代が変わりつつあるときだったんで、古い仕組みを維持するよりも新しいものが出てきそうな雰囲気がしていたから、それなら新しい波にのって今まで見たことのないものを見てみたいと思ったからです。
S :ビジネスチャンスを発見する能力を磨く方法は何なのでしょうか?
後藤氏:好奇心がまずは必要で、好奇心をもっていろいろアイデアを創造して膨らませていってシミュレーションします。まあしかしそのうちの大半のアイデアはビジネスとは結びつかないのですが、だめだったら最後は捨てていく、といった取捨選択をずっと繰り返していくうちに、チャンスをものに出来る力は身につきます。
S :起業のリスクについてどう思われますか?
後藤氏:基本的には何をやってもリスクはあるけれども、何もしないことに対するリスクもあるから…僕が意思決定するときに考えているのは、たとえば今二つの道があったとき、どちらの道が将来に対する選択肢がいろいろ用意されているかどうかと、それをやることが面白いかどうかを判断基準にしてます。将来の姿を思い描いて進むという方法は僕はやってなくて、将来の選択肢がこの道のほうが増えていきそうで、かつ面白そうだと判断すればその道を進むといった具合に考えています。
S :ビジネスを成功させるために一番大事なことは何ですか?
後藤氏:一つは絶対成功するんだという信念、もう一つは信頼を大事にしていくことです。信頼は作るのは大変だけど失うのは一瞬だから。裏切ったりしないというか、この人と仕事やってよかったと思ってもらえるように常に心がけていくことが必要です。自分だけ得しようと思っていたら、嫌われて敬遠されてしまうし、ゼロサムの取り合いではなくて双方 win の関係になるような、良好な関係をどう作れるかが大事です。周りの人が得するようにがんばると自分のところにも得が回ってくるような仕組みがいわゆるビジネスモデルってやつだから…世の中はずっと回っているから、誰かから何かを奪い取って、自分だけ上手くいくなんて事はないんだ。
S :それではこれで最後の質問にしたいと思います。今の学生に対して一言お願いします。
後藤氏:すごく真面目だよね…最近の学生は。良くも悪くも学生の間は学生の間しかできないことをしっかりやって、社会人になってどうするか考えるいい機会だからそういうことをやればいいんじゃないかな。いろんなことに手を出すのもいいし、ただ社会に出るための枠に自分をどんどんはめ込んでいくのは、あえて学生の間にはしなくてもいいんじゃないかなと思います。
S :学生で株式投資はアリですか?
後藤氏:好きだったらやればいいし、やっちゃいけないことはないよ。ただ学生は学生だから社会勉強の一環としてちょっとだけやるのがいいと思います。
S :ありがとうございました。以上でインタビューを終わらせていただきます。
総括
・情報の価値を理解し、扱う事
・行動するリスクと行動しないリスクを考える事
・意思決定方法の一つのモデル
・学生と IT
様々な事を学び、吸収できた充実した一時間でした。「これからは必要な情報を入手でき、かつ取捨選択できる人間が強くなる」と合田個人としては感じました。
僕たちの抽象的で分かりにくい質問にも一つ一つ真摯に答えていただき、また僕たちの為にお忙しいところお時間を割いていただいた後藤社長にこの場を借りて厚くお礼申し上げたいと思います。ほんとうにありがとうございました。
*この文章は全て合田が作成しました。全ての責任は合田の所存になります。























